月刊FOODWORLDメールマガジン2019年 4月号から抜粋
食品加工工場で考える軽減税率のポイント
こんにちは。4月号担当の「たぬき次郎」です。
今月は「食品加工工場で考える軽減税率のポイント」についてお話しします。
今年10月から始まります消費増税。もうそろそろ準備に取り掛からなければなりません。
食品加工工場で利用されるFOODWORLDは主に「物」の管理を主体としたシステムで、あまり関係ないと思われがちですが果たしてそうでしょうか。
今回は、FOODWORLD(以下FW)での軽減税率に関わる対応について事例を含めて紹介します。
軽減税率を対応するにあたってまず第一に考えなければならないことは、
●軽減税率対応が必要なのか
●どこのシステムで商品別税率を管理するか
ということです。
FWは生産管理システムという位置付けにつき、売上や仕入情報を販売管理へ連携するお客様が多く存在します。
普通に考えれば販売管理側に税率を持たせるのが一般的ですが、EDIシステムとの受発注を連携している場合、FW側で税率を持って販売管理へ連携する方が管理しやすいというケースもあります。
連携する場合の対応としては、まずこのあたりの確認・検討から始まり、最終的にはどちらのシステムが税率を設定するのかなど、詳細を詰めて対応する必要があります。
※以前のメルマガ『VOL.066(2018年 10月号)』において、販売管理への連携を主眼とした事例を紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
一方、加工・販売される商品は「食品」なので一律に軽減税率対象(8%)となり、特に商品マスターに税率を持つ必要が無く、システムを改修する必要がないと考えるお客様もいます。
そしてその場合、もう一度確認して頂きたい事項があります。
●販売している商品は本当に食品のみですか?
ここでよくある事例として、「加工賃」や「運送料」を商品マスターに登録し処理しているケースです。
一般的にはこれらの費用は加工商品の単価に含めていることが多いのですが、お客様の運用、又は取引先との契約によって、別途「商品」として登録し個別に売上げることがあります。
これらは当然「食品」としては扱われませんので軽減税率対象外として「10%の税率がかかる商品」と認識する必要があります。
そうすると必然的に、
・軽減税率対応として商品別に税率を持たせる ⇒システム改修
又は
・得意先と契約を見直す/運賃等の商品運用を止める ⇒運用変更/単価修正
といった検討が必要となってきます。
もう少し違う例でいうと、「たまにお店へ弁当用トレーを卸している」というケースもあり、この運用も同様の検討課題となります。
特にスーパー系でよくある話の様ですが、お店で不足したインストア用の共通トレーを総菜工場が急遽用立てることがあるようです。
普段は行われず、たまに発生するような運用の場合、これらの存在は見逃しがちになります。
このように、「軽減税率対応が必要なのか」という視点で、管理している商品を今一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
隠れた対応が見えてくるかもしれません。
軽減税率とは直接関係ありませんが、これを機に単価の見直しも行われることが多いようです。
●税込単価から本体単価へ
前回の消費税改定時に商品の単価を本体価格(税抜)へ移行したお客様もありましたが、税込を継続するケースも多くありました。
現在税込単価で運用しいる場合は、今回の軽減税率を機に再度運用見直しを検討されることになるのではないでしょうか。
さすがに商品によって税率が変わるという運用を強いられることもあり、また将来の軽減税率制度の不透明さも含め、この機に本体単価へシフトする流れは必然かと思います。
ただ、単価変更と言っても単純ではありませんね。
・伝票上の単価(仕入品マスター/受注商品マスター)
・商品ラベル上の単価(ラベル商品マスター ※ラベル連携の場合)
・原価管理上の単価(材料マスター/レシピマスター) 等
この中でも、表面上の対応として必ず伝票単価や商品ラベル単価は意識しているのですが、忘れがちなのは「原価」です。
FWユーザーでは売上とレシピ原価を利用して粗利等を管理するケースがありますが、管理上の販売単価を変更するのであれば、対比すべき原価もそれに従わせなければ意味がありません。
そして原価を含めこれらを一律変更となれば、対応は大きな負荷となります。
ましてや、10月の施行と同じタイミングではリスクも大きいと思います。
駆け込み対応とならないよう、しっかりとした準備期間と余裕ある運用変更(事前運用)のスケジュールを検討することをお勧めします。
作業負荷や移行タイミングによっては、データコンバートをご検討されることも考えてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した内容について、詳しくは動画をご覧ください。
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